2014年1月30日木曜日

忍ぶ川みたいな

アニメが見たいと思う今日この頃です(映画じゃないよ!小説のほうだよ!映画なんてなかったんや!).

サブカル文化の王道に横たわるつまらなさは,真面目な心情の機微を茶化してしまう悪癖というか羞恥の部分にあると常々思っています.羞恥も羞恥で突き詰めれば,太宰に至るのですが,そこを突き詰めずに「ギャグ」という合気でいなしてしまっているのが,とても白けてしまいます.その点,エロアニメとかエロマンガって,純粋に性欲を突き詰めているだけあって,そういう部分では,サブカルの最先端を走っていると思うこともあるくらいです(精神的童貞のファンタジーも強いけれどw).

子供向けの作品だから人が死なないとか,(精神的)童貞が相手の商売だからセックスの臭いを漂わせないとか,まぁ,作る側が考えることはあるのだろうけれど,自然主義以前の明治人じゃないんだから,何を言っているんだろうと思ってしまうのです(あ,でも,明治人は人の死にはもっと寛容かな).

そういうわけで,ときどき,サブカルの中に現れる羞恥を無視した描写に痺れてしまいます.例えば,「とらドラ!」の亜美ちゃんがみのりんに放つ「あんたと話してると生理中な気分!」とか,最終話の大河と竜司の離れる前夜とか,「TARI TARI」の「〜したり,〜したり」な青春観とか,大智が最終話の告白に至る過程(唐突さがなく,視聴者と一緒に紗羽に魅かれていく,という描き方がよかった)とか,「京騒戯画」のドストレートな家族だから一緒にいたいんだ!という主張とか……,他にも色々ありますが,まぁ,コレを延々続けても仕方がないので,この辺でやめます.

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んで,結局,何がいいたいのかというと,「桜 trick」は,友達の中でも特別という証のキスをするときに "唇が触れ合う" という,そのことの純粋な快楽をちゃんと描写していることだけは素晴らしいと思う,ということです.感情が行動を起こさせて,身体感覚が感情を奔らせるという,その部分を(それが意図的でなくても)ちゃんと描けているというのは,素晴らしいと思います.

あと,あの作品は,百合モノにありがちな片方が,設定の上で性別女性なだけで,ほとんど男の精神してんじゃん,というどっちらけ感がないことも良いと思うのです.それ以外は,まぁ,普通の作品ですが(原作一部既読者並みの感想).

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……という話を,彼女に熱く語ったら,生暖かい眼で「そうだね.よかったね」な反応をされたので,ここに書いたった.

かぐや姫の物語

正月に見たので,もはや,記憶がだいぶ薄れているのだけれど,自分用の備忘として感想を書いておきます.

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とにかく,素晴らしかった.何よりも,地井武男さんの演技がすご過ぎて失禁しかけました.他の人の演技も良かったのだけれど,地井さんの怪演が素晴らし過ぎて,正直,それ以外の全てがどうでもいいというくらいでした.本当に,惜しい役者さんを亡くしたものです…….

昔から,声優を使うのを嫌う監督だけれど,他の方の演技も良かったので(プレスコのおかげかもしれないけれど),もう一人のジブリの監督の特に意味もなくタレントを使うという不安定さはなく,安心してみられました(いや,駿の演技指導も凄いっちゃ凄いんですが……).伊集院も良かったと思うw

ストーリーに関しては,本当にただの「竹取物語」だったので,やや捨丸にーちゃんのエピソードがウザかった気もしましたが,特記すべきことはありません.そういう話だって言うことは,日本人ならほとんどの人間が知っていることですし.

絵は,流石に美しかったです.「となりの山田くん」と違って,キャラクターデザインに拘泥させられる必要がないため,高畑監督のイマジネーションがドストレートに迫ってきて圧巻でした.高畑演出も相変わらず細かくて,痺れました.

音楽に関しては,僕が久石音楽全体があまり好きじゃないので,まぁ,そんなもんだよね(偉そう),という感じでしたが,月の人が降りてくるときの音楽は素晴らしかったと思います.

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まぁ,そんな感じです.

……自分が凄い気に入ったものの感想を書くのって苦手なんです(逆にいうとつらつらと文字を書きなぐっている作品評は気に入っていないものということ).

2014年1月29日水曜日

バランスを失した世界

かくありたいと願う理想像は誰もが持っているとは思うけれど,私にとっては,バランス感覚に長けた人というのが理想像にある.昔は,もっと尖った,よくある性格診断の結果に描かれる六角形のアートが一点突破して,直線になっているような人間になることに中二病的に憧れたものだけど,歳をとって,変節して,変容して,気がついたら,こうなっていた.

なんとも曖昧模糊な表現で,だからこそ,理想であって現実ではないのだろうけれど,やや "バランスという幻想" を失した感のある世界の中で,自分だけでもバランス感覚を持っていたいという願望は,私の中では自然な感情としてある.

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空気を読む,とか,そういう表現があって,私は,常日頃から,空気は可視光では透明なので読めませんなんて,嘯いているのだけれど,30 年に及ぶ,外界との密接な繋がりに縛られて,コミュニケーションが染み付いた自分が「空気を読めない」なんてことがないので,「空気を読まない」行為の道化に自分自身が可笑しく感じてしまうことも多い.

多分,10 年くらい前まで,バランスという幻想は,幻想としてそこにあったのだろうと思う.ようは,見えないという事実は,存在しない証明にはならないという屁理屈なのだけれど,コモンセンスという言葉で,十人十色を十把一絡げにしてきた世界では,そんな詭弁は不可視で,まかり通っていた.

あんまり具体的な事例は出したくないけれど,例えば,二次元に描かれた児童ポルノの規制云々という話題における,規制をしようとしている人の言う「ドラえもんのしずちゃんの入浴シーンが規制対象にならないくらい常識的に考えて分かるでしょ?」という言葉.そんなものは確かに常識で分かるという思考の放棄と,「しずちゃんの風呂」問題を提起する極北側の人間には,何の橋もかからない.つまりは,建設的な議論は生じ得ない.そして,法が存在しない上に,線引きとなる判例の存在しない世界には,どちら主張もなんの正当性も担保はされていないわけだ.

こういう事例は,ネットワークを介して,個人が簡単に繋がることができ,どんな考え方であっても簡単に発信することができる世界になって,初めて,大々的に発生するようになった最たる事例だと思う.

ルサンチマンの具現化とか,そういう使い古された論評を持ち出すのもバカバカしいくらいにユビキタスは進んで,人は好むと好まざるとに関わらず自分の中に育てていたコモンセンスが崩壊する様を見せつけられることになる時代.そして,コモンセンス,いわば特定のコミュニティのなかの考え方のルールであり,幻想の中の中間値,が崩壊した人にとっては,議論の中心が失われていってしまうことになるのだろう.

こういったバランスの失われた世界は,おそらくいんたーねっつのなかった頃には,普通の人は見ることもできなかったはずで,例えば,右翼の街宣車,新興宗教の勧誘,左翼団体のデモ行進など,普通の幻想に埋もれた人にとって,そういった極北に触れてしまうのは運の悪い事故であったと思う.事故として処理して,忘れていても,誰も困らなかった.そんな極端な事故の例を出すまでもなく,自分の属するコミュニティ以外の集団に出会うことも,そういう集団が存在することも,日常生活の上では知覚し得なかったと言うことでもあるのだろう(世界がもし 1000 人の村だったら,自分がリアルの生活で積極的に関われる世界はせいぜい 10 人くらいだ,といってもいい.僕の口癖みたいなもので前後 10 人の世界っていうもっと危ない話もあるんだけど,それはまた,別な話).

しかし,何の担保もない一個人がフラットに自分の思考を垂れ流せる世界では,どんな極端な思想でも,どんなにニッチな考え方でも,簡単に世界に見せつけることができてしまう.当然,このブログだってそういうもののひとつで,ここにある文章が共感を生むこともあれば,そんなものは生まずに排除されていくこともある.

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結局,なにが言いたいかというと,咲さんかわいい

自己分析

最近,考えていること.

ときどき,世間では流行っているけれど,特段,何のこだわりも理由もなく,自分がハマれないものを分析したら自分のことがよくわかるんじゃないかな,とかなんとか.

最近だと,艦コレとか.

乗り遅れたっていうのと,そもそもテトリス以外の電子ゲーム一切に興味が持てないというのが大きい理由かもしれないけれど,ゲームも何もやらないくせにアイマスにはアホみたいにハマった過去があるので,そこの差はよくわからない.

じゃあ,軍事ネタ(または,それに萌えを絡めること)に抵抗があるのかと言えば,そんなことはなく,ストライクウィッチーズもガールズ&パンツァーも大好きだったりするわけで…….艦コレに詳しい友人からは「デザインとか設定とか凝ってる」ということなので,(船はそんなに好きでもないけど)二次大戦くらいの兵器が,それなりに好きなうえに,流行ものにはわりと流されやすいミーハーファッションおたくな自分としては食指が動かないというのはちょっと謎.

たぶん,自分の好きな物とか嫌いなものって,いくら突き詰めても感情の世界に入ってしまって,結局,好きだから好き(嫌いだから嫌い)なわけで,そこを突き詰めても好き(嫌い)の範囲を定める以上には何も分からないので,最近は,そういうことを考えるのをやめてしまった.そのおかげで,何を見ていても,何も考えなくなってしまったので,そのせいで変なことを考えているのかもしれないけれど,自分の好悪の感情の外にある無関心は,それなりに興味深いとか思うのでした.

2014年1月13日月曜日

2013 年アニメリスト(記録)

視聴リスト,記録.

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2012 年秋アニメ継続.

  • バクマン。3
  • Robotics; Notes
  • Psycho-Pass
  • ガールズ&パンツァー

「バクマン。」以外は面白かった.

特に「ガルパン」は,徹頭徹尾面白かった.やっぱり,王道って良いよね.

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2013 年アニメ.完走

  • RDG レッドデータガール
  • アウトブレイク・カンパニー
  • 犬とハサミは使いよう
  • IS2
  • 有頂天家族
  • 俺の妹がこんなに可愛いわけがない。
  • 俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している
  • 京騒戯画
  • COPPELION
  • サーバント×サービス
  • 翠星のガルガンティア
  • 戦姫絶唱シンフォギア G
  • たまこまーけっと
  • ちはやふる 2
  • のんのんびより
  • ハイスクール D×D New
  • はたらく魔王さま!
  • ビビッドレッド・オペレーション
  • 僕は友達が少ない NEXT
  • 〈物語〉 シリーズ セカンドシーズン
  • やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
  • よんでますよ、アザゼルさん。Z
  • ラブライブ!
  • ロウきゅーぶ!SS
  • 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

面白かったのは,なにより「有頂天家族」.森見登美彦の小説は読んでいたけれど,素晴らしくアニメ化してくれていて感動した.キャラデザが久米田っていうのも初め聞いたときは「どうなの?」とか思っていたけど,すごくハマっていてよかったと思う.

繊細な感情の機微を描くことでわけのわからない話を「日常」に丸め込んでしまった「たまこまーけっと」は怪作だった.まぁ,誰とも分かち合えないと思うけれどw 

「俺ガイル」は,ラノベ原作でものすごく敬遠していたけれど,主人公の周囲の優しい女性たちに甘えきった偽悪っぷりが清々しくて,すごく良かった.ややラノベ臭は漂うんだけど,それを忘れられるくらい,ちゃんと高校生を描いているところが良かった.

「ちはやふる 2」.熱いっ!面白いっ!

「翠星のガルガンティア」.王道ってすごく良いよね!中間ダレたって言われることも多いけれど,それも含めて,個人的には大好き.そもそも,どんな不満も最終話の「くたばれ,ブリキ野郎!」が全て吹っ飛ばしてくれたよね.

「京騒戯画」.とにかく声優陣の演技が素晴らし過ぎて,毎回,失禁しそうになりながら見ていた.話は,特に脚本,演出面で,やや丁寧さに欠けた感じはしたけれど,単純に「家族」というテーマがストレートに描かれていて,気恥ずかしくもあったけれど,良かったと思う.映像はキラキラしていてクルクル動いて,視聴することの単純な楽しみが大きかった.

「のんのんびより」.(この前のクールで「きんいろモザイク」が酷過ぎて)まったく期待していなかったんだけど,ものすごく良かった.特に,演出がいちいち良くて,ときどき挟まる「クレイジーサイコレズギャグ」とか,萌えを強調した描写がうざったく感じたくらい.

その他は,「ハイスクール D×D」,「シンフォギア」あたりが面白かった.「D×D」は,ポル産なんだけど,普通に面白いから困る.「シンフォギア」は,1 期よりもぶっ飛んでいて(ギャグ的な意味でも)面白かったのが困る.

あとはあんまり印象にない.「脳内選択肢」,「ラブライブ!」,「IS 2」,「レッドデータガール」は,なぜか全部視聴したんだけど心の底からつまらなかった.「ハサミ」は良い意味でもクソアニメだったから,幾分かマシw あ,でも,「ラブライブ!」の凛ちゃんとエリチカおうちに帰るちゃんは可愛い.

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2013 年アニメ.秋アニメ 2 クールもの継続中.

  • ゴールデンタイム

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2013 年アニメ.途中挫折もの.理由は様々.

  • 惡の華(制作方法が面白いから見始めたけど,原作の絵の方が良いと感じて挫折)
  • きんいろモザイク(流石にカレンの可愛さだけで継続視聴は無理だった)
  • キルラキル(ネタ・勢いに対して無駄に長い.「フリクリ」みたいに 6 話程度にまとめてくれ,という感じ)
  • ささみさん@がんばらない(最終話あたりを見逃してそれっきり.必死で見たいという意欲もその後湧いていない)
  • 進撃の巨人(数話見て原作を読んだ方が面白いんじゃないかと思って,原作を読んじゃった.アニメは原作で読者が夢想する作品世界を全然描けていないと思う.特に立体機動の戦闘)
  • ステラ女学院高等科 C3 部(5 話目くらいで 1 話飛ばしてそれっきり)
  • ダンガンロンパ(そもそも話にはまったく興味もなく,大山のぶ代の声を聞いて満足した.1 話しか見てない)
  • とある科学の超電磁砲 S(本物の偽悪でかっこ良かった頃の一方通行さん編が終わって興味を失って,何話か見逃してからそれっきり)
  • Free! (面白かったんだけど,やはり,途中を飛ばしてしまってそれっきり.ちょっとだけ,今からでもちゃんと最後まで見たい気持ちもある)
  • 機巧少女は傷付かない(1 話を見たけどまったく興味を魅かれなかった.そして 2 話を見逃して,それっきり)
  • ローゼンメイデン(これも前半で見逃したっきり)

……基本的に 1 回でも見逃したら見なくなってしまった感じ.そして,大体の場合,それ以降も見たいと思える程の求心力がなかった.単純につまらない,自分に合わないと思って視聴を中断したのは「惡の華」,「キルラキル」,「きんいろモザイク」,「進撃の巨人」あたり(「進撃の巨人」に関しては,原作に移行したってのがメインだけど).

2014年1月11日土曜日

やや感傷が抜けなくて

本当は,大好きな音楽家であるところの大滝詠一さんが亡くなったことに関して,前回の記事で触れるべきかなぁと思わないでもなかったのですが,本当に大好きだったから,あまりの唐突な訃報に感傷的になり過ぎていて,触れるに触れられないような妙な感じもあり,また,新年一発目の更新から自分のセンチメンタリズムを前面に押し出すような文章をアップすることにも抵抗があったので,触れなかったわけです.でも,二週間くらい経った今でも,不意に音楽プレイヤーから大滝さんの歌声が流れると,悲しくなってくるくらいには,やや感傷が抜けなくて…….

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僕が大滝さんの音楽に触れたのは,まぁ,世の中の人の大部分がそうであるように,はっぴいえんどからの流れでした.気怠そうな,眠そうな声で,ふつーの青年のふつーの日常的な感情を吐き出すような歌い方に魅かれました.「A LONG VACATION」あたりから CD を買いはじめ,一見キラキラしたキャッチーなだけのポップスのような顔をしていつまでも聞き続けたくなる「趣味趣味音楽」の深みに耽溺していったのでした.

好きな曲は無数にあります.挙げても切りがないくらい.

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細野さんのコメントを読んで,本当に大滝さんの頭の中にあったはずの「ポップスの宝庫」がどこに行ったのだろうかと,想いを馳せる.死んだ人の頭の中にあった形になることのなかった「もの」って,永遠の中に消えていく,その儚さと美しさが素敵ね.

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なんだか,何を書いているのか自分でもわけが分からなくて,書いているだけで悲しくなってくるので,終わり.

BGM にかけていた「A LONG VACATION」で,ちょうど「カナリア諸島にて」が終わったし……

2014年1月6日月曜日

新年,明けてしばらく経ちましたが

おめでとうございます.

本年も,適度に更新をしていくつもりではありますが,そして,徐々に更新頻度を上げていきたいと思いますが,まぁ,そこら辺はぼちぼちと.

基本的に,自分の日々の記録であり,ちょっとした思考のメモであり,嗜好の垂れ流しであるところは相も変わらず.のんべんだらりと記録をつけ続けておくことが,いずれの楽しみになると信じて書いております.

ともあれ,本年もよろしくお願いします.

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今年は,正月休みが 9 連休だったこともあり,関東へ避寒して過ごしておりましたが,関東に居たという意味のあるようなことはほぼ何もせず,どこに居ても変わらないような正月を過ごしておりました.まぁ,その分,ゆっくりと休養を取ることはできたのですが(微妙にアドバイザリーボードという名の仕事はしていたような気はしますが……).

この正月休みで印象に残ったのは,「かぐや姫の物語」でしょうか.いや,全く正月という事実とは関係ありませんが…….しかし,これは素晴らしい映画でした.近いうちに感想も書く予定です.

……取り敢えず,明日は,(正月不在のため)今日受け取った賀状への返信を認めようかな,と.

あれ?いつから寒中見舞いに変わるんだったっけ?