2015年5月14日木曜日

国立大学ってなんだっけ?

国立大学の学費を私立大学並みに上げるとか,そういう議論.ここまで愚かな議論を久しぶりに見た感じ.

僕の入学した頃(2002 年)の国立大学の学費が,ぎりぎり 50 万円いかないくらいだったと思うけれど,それでも(国立大に受かったことで金銭面で安心しきっていた)両親が度肝を抜かれる程度に高いという印象だった(両親の世代だと国立大学の学費は,もろもろ込みで 5 万円以下).いまは,更に上がっていて,54 万円くらいだ(つい 4 年前まで払っていたから詳しいのだ).公立高校が無償化されたことを考えれば,ここから更に学費を上げるというのは暴挙に近い.

国立大学に行けば,たとえ大学まで行ったとしても,学費の面で親孝行という時代は遠くなってしまっている.これ以上,学費が上がると,はっきり言って,金銭的な問題から進学を断念しなければならないという例が,かなり顕在化してくるに違いない(いまですら珍しい話でもないのに).ちなみに,こういう話になると出てくる,「バイトで学費を稼げ」とかいう妄言は,学生の本分からも,稼がねばならない金額の大きさからも,ナンセンス極まりない.大抵,こういうバカなことを抜かすのは,国立大学の学費が当時の物価水準を考えてもタダみたいに安かった,現在 50 代後半以上の世代だ.おっさんどもの世代は,バイトで補うなんて芸当が(楽に)可能な金額の時代だっただけだ.というか,いま,58 歳の世代まで国立大学の(入学時の)授業料って,36,000 円だったんだぜ?年額だよ?桁を間違えているわけじゃないよ?いまの若者には到底信じられないような話だけれどさ.

※なんで,学費の変遷に詳しいかというと,いま 60 歳くらいの世代のとあるおっさんに「俺たちが学生の頃は学費はバイトで補っていた.いまの若者は……」云々とご高説を垂れられて,(その場で調べた学費の変遷を見せながら)ブチ切れたことがあるからだ.

学問でもなんでもそうなんだけれど,機会だけは均等でなければならないと思うんだ(なお,この言説で最も重要な部分である "機会だけ" を抜かすとバカサヨになる).少なくとも,(今回の議論で話題になっている)私立大学に近い水準なんていう学費になったら,上流とはいわないけれど,中流の中では裕福なほうだった僕の親父の稼ぎでも,兄妹そろって大学進学させるような学費は賄えてなかったんじゃないかと思う.(まだいないけど)自分の子供が大学進学する時に,そんな学費だったらとか想像すると,すでに生涯賃金曲線がわかっている身の上ゆえ,ゾッとする.馬鹿げた話すぎて,失笑も出ない.

しかも,この議論の発端が財務省からだって言うんだから,へそで茶がわくね.しかも,その発想をした理由が,もう……(あまりにも馬鹿らしすぎて書く気も起きませんので,ニュースなりなんなり見てください).

国立大学って,なんだったっけ?あ,いまは国立大学法人か.まぁ,どっちでもいいんだけれど.